損害賠償額の予定(秘密保持契約)
条文15
チェックポイント①
賠償額の予定が、RMB 500,000 Yuan(人民元500,000元)となってますので、これで妥当かどうかの確認が必要です。
賠償額の予定が仮に不相当に過大な額が相手方より提示されていたとしても、裁判所で争うときには合理的な範囲が定められた条項のみが有効とされ、不合理な規定は無効となります。
(下記で本チェックポイント①を英米法の観点から詳しく説明しております)
チェックポイント②
If the compensation cannot cover the Disclosing Party’s actual loss, the Receiving Party shall compensate more until the Disclosing Party’s actual loss being totally covered.
上記について、制限、又は、本文の削除を要求する必要があると思われます(詳しくは下記をご覧ください)。
秘密保持契約の違反で生ずる損害はその額があらかじめ予見しにくく、思わぬ額になりかねませんので、出来る限り負担を少なくする方向で交渉する方が良いと思われます。
交渉の手順の一例としましては、
①actual lossについての一文を削除してもらう。
理由は、そもそも賠償額の予定の規定があるのは、秘密保持契約において損害額の算定が困難あるいは予見しにくいからこそ、actual lossの賠償の代わりに特別に規定されているからです。
二つの条項を置くのは、公平ではないと思われます。
actual lossの損害賠償請求が可能ならば、逆に賠償額の予定の条項が不要となると言えます。
また、情報の管理方法を厳格にして情報の流出・漏えいを最小限とするのでという、こちらの譲歩も良いかと思われます。
②削除してもらえなければ、actual lossを制限してもらう。
理由は、actual lossでは損害賠償の範囲が不明確だからです。
出来れば、結果損害(Consequential damages)、間接損害(Indirect damages)、逸失利益(Lost profits)、付随的損害(incidental damages)、特別損害(Special damages)を除外してもらえるよう交渉してください。
また、相手方に「損害発生を最小限に抑えるよう協力する義務」を求める記載も重要となります。
この義務があると、裁判上で損害賠償責任の責任負担につき一定の帰責性を相手方に求めることが出来ると思われます。
③actual lossを制限できなければ、損害賠償額の予定の条項を削除してもらう。
理由は、上記①に書いた通り、損害賠償額の予定とactual lossの損害賠償の規定は、補填的な関係にあるからです。
(下記で本チェックポイント②を英米法の観点から詳しく説明しております)