「紛争が生じたときに不当な損失を被らないこと」とは、「損害賠償や契約解除、裁判・仲裁時の規定を適切に定める」ことを言います。
また、先ほどの「取引の目的を適切に定める」ことも紛争処理には大変重要です。
紛争が生じたときに如何に自社の利益を確保し損失を補填させるか、また海外で裁判などを起こす際に実際に行えるのか、実際に効果的か、という視点をもって作成することが大変重要になります。
なぜなら、海外取引は国内取引とは異なり、何もしなければ裁判などの紛争処理に多大な労力やコストがかかるのが通常ですので、労力やコストを抑えなければ裁判自体を諦めてしまうからです。
その場合にも「英米法」やその「判例」の知識が無ければ適切に定めることは出来ませんので、英文契約書上にその取引に合致した救済方法を記載することは困難です。
例えば、英国の「判例」である、「Hadley v.Baxendale」という有名な判決により、通常損害(general damages)は何か、特別損害(specialdamages)は何か、そして、それらの損害をどのように処理していくのかを規定していく必要があります。
また裁判・仲裁時には「地理的問題」や「準拠法」、「仲裁機関」や「その規則」、「ニューヨーク条約の批准の有無」「勝訴判決での相手財産への強制執行の可能性」などの問題がたくさんあり、これらを総合的に考慮して労力やコストを抑えて実効性のある紛争処理を規定する必要があります。