「取引を合意内容に従って遂行すること」とは「取引に必要な条件を具体的に漏れなく定める」ということです。
これは取引の核心と言える英文契約書の根幹です。
まずは当該ビジネスモデルから、対価関係を割り出し、そこから取引に必要な条件を個別具体的に考察して定める必要があります。
そしてもう一つ重要なものとしまして、「取引の目的」というものがあります。
これには、当該契約から直接導かれる「契約上の目的」と、その契約を前提として次のステップで実現されるべき「戦略的目的」が存在します。
通常は「契約上の目的」が達成されれば契約書作成としては成功といえるのですが、当事務所ではもう一歩踏み込んで「戦略的目的」までを加味した契約書作成を心がけております。
なぜ戦略的目的が英文契約書に大切なのでしょうか?
例えば、御社の新商品で主力にしたい場合、まずは取引実績が欲しいと考えたとします。
この場合に戦略的目的を考慮しなければ目の前の契約は単なる『商品の売買契約』です。
ですが、戦略的目的を考慮すると『主力商品に育てる第一歩として実績を積むための契約』となり、契約の目的が全く異なってくるのです。
このように契約の目的自体が変わりますので、当然、【契約書に記載する内容】や【契約交渉の仕方】が変わってきます。
また、取引の相手方自体も変わる可能性もあります。
また、戦略的目的を記載することで、相手方の口約束などの背反を規制することが出来ますし、紛争が生じたときに裁判所などでその戦略的目的を加味した有利な判決を引き出すことが出来るのです。
これは、米国での裁判例でも度々見かけられる判例ですので、英文契約書作成やリーガルチェックにおいては大変重要なポイントと言えます。