ご自分で簡単に英文契約書のリーガルチェックするときのポイントをわかりやすく解説します

英文契約書の作成・リーガルチェック・修正・翻訳を専門としている事務所です。

英文契約書のリーガルチェックの重要性

英文契約書でも国内の契約書でも、その内容をチェックするリーガルチェックは重要です。

それは、法律との整合性を保つということもありますし、取引条件について履行可能かどうか又は過度に不利益でないか等のチェックも重要です。

また、将来の紛争を未然に防ぐために、そのビジネスモデルに適合する一般条項を確実に選ぶ必要があります。

ですので、第三者にリーガルチェックしてもらうことは、契約書の本来的機能を保持、又は、向上させるものと言えます。

ご自分でできる、簡単リーガルチェックのポイント

英文契約書の草案を相手方が提案してきた場合には、権利義務が確実に規定されているか、また、取引内容について、公平な立場で規定されているかのチェックが必要となり ます。

また、英文契約書の草案をこちら側で作成する場合には、過度に自己の立場に有利でないか、又は、上記の場合と同様、権利義務が確実に規定されているかをチェックする必要があります。

英文契約書をチェックする際は、次のようなポイントを重点的に確認 する必要があります。

  • 取引条件
  • 実行可能性
  • 文法や用語の誤用
  • 調印者の権限
  • 効力発生日
  • では、次のページで英文契約書のリーガルチェックの中心となる取引条件のチェックのやり方を見ていきましょう。

  • 英文契約書のリーガルチェック やり方(取引条件)
  • 当事務所の英文契約書のリーガルチェックのやり方

    当事務所の英文契約書のリーガルチェックのやり方を簡単にご紹介したいと思います。

    まず、英文契約書の意義・機能とは、

    ①取引を合意内容に従って遂行すること

    ②紛争を事前に予防すること(適切なリスク配分)、紛争発生時の処理

    ③紛争が生じたときに不当な損失を被らないこと

    の3つの事象を定めることにより、取引活動を円滑に行うためのものです。

    とすると、英文契約書のリーガルチェックにおいても、上記①~③の意義・機能を確実に果たせるようにする必要があります。

    ◆リーガルチェックは何を根拠に行うか

    では、リーガルチェックは何に基づいて行うのでしょう?

    それは、準拠法にもよりますが、英米法とその判例に基づいて行うことが必要です。

    もちろん、準拠法が日本法や、他の国であればその国の法律・判例に基づく必要がありますが、基本的には、英米法とその判例に基づいて行うことが必要です。

    その理由は、英文契約書で必ず置かれる条項である、「一般条項」が、英米法とその判例に基づいて作成されてきたという歴史からも伺えます。

    ですので、英米法とその判例を知らなければ、英文契約書の大半を占める一般条項のリーガルチェックを行うことは不可能と言えます。

    英米法とその判例に基づかないリーガルチェックは、実際の裁判で英文契約書で合意した内容が実現されない、形だけの英文契約書を作成することに繋がります。

    ◆個別的なリーガルチェックのポイント①

    まず、①取引を合意内容に従って遂行すること、という要件を英文契約書のリーガルチェックに引き直すと、「取引条件が具体的に定められているか」をチェックするということです。

    これは、取引の性質から、対価関係を割り出し、そこから必要な条件を個別具体的に考察し、リーガルチェックをするということです。

    ここで、英米法とその判例に基づいて行う場合の一例としましては、Non-Bindingの文言が入っていたにも関わらず、そのライセンス条件の覚書に反する交渉を否定した(Non-Bindingとあっても、その文言の効力を否定した)「SIGA Technologies,Inc. v. Pharmathene,Inc., 2013年5月24日 デラウェア州最高裁判所判決」等があります。

    この判決を知らなければ、リーガルチェック時に、Non-Bindingがあるので問題無しとされることでしょう。

    ◆個別的なリーガルチェックのポイント②

    次に、②紛争を事前に予防すること、という要件につきましては、「一般条項」と呼ばれる条項をリーガルチェックすることになります。

    英米法とその判例に基づいて行う場合の一例としましては、一般条項でその効力が問題となる、Negotiate in Good Faith に効力があるかどうかを上記のデラウェア州最高裁判所判決で言及していますので、それに基づいてリーガルチェックをする必要があります。

    ◆個別的なリーガルチェックのポイント③

    次に、③紛争が生じたときに不当な損失を被らないこと、という要件については、損害賠償による金銭的な回復を規定するのか、それとも、履行の強制や仮差止め等を記載するのかをリーガルチェックします。

    ここは、英文契約書でも最も重要なポイントの一つと言えるでしょう。

    その理油は、紛争が生じてそれを解決する最終段階が金銭的救済か、又は、履行の強制等なのかに集約されるからです。

    いわば、英文契約書の最終形態だからです。

    ここも当然、英米法とその判例に基づいてリーガルチェックを行う必要があります。

    英国の「判例」である、「Hadley v.Baxendale」という有名な判決により、通常損害(general damages)は何か、特別損害(specialdamages)は何か、そして、それらの損害をどのように処理していくのかをリーガルチェックしていく必要があります。

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