国内取引では、税金をどちらが負担するかの問題は法律でその納税者等が明白なので契約書上で問題となることは少ないですが、国際取引では、商品の支払価格の交渉時にその税金をどちらの当事者が負担するのかを決めずに契約を締結することが少なくありません
課税対象によっては課税されると想定していないこともありますし、後から法律が改正されて税金が賦課されたり、税額が変更されたりすることもあります。
国際取引での税金に対しては、通常、その相手国の税法等の知識を有する者が社内にいることが珍しく、税金に対する考慮を欠いたまま契約を締結し、取引が開始されることが多いといえます。
しかし、国際取引を行う上で税金は重要な問題で、契約書で税金について定めず、商品等の金額を決定し、支払時になって、支払者側で源泉徴収の手続きをしなければならないことが判明したり、ロイヤルティ、配当、金利送金などにおいても源泉徴収の手続きが必要なことが判明する場合があります。
ですので、契約書上において明確に税金の支払についての条項を定めておく必要があります。
具体的には、どちらの当事者がその税金について支払うのかという問題があります。
次に、その支払った額を誰が負担するのかという問題があります。
上記の問題に対しましては、当然、各国の税法では、誰が納税義務者かにつきましては、定めがありますので、その税法が定める納税者に該当する当事者が負担すると決める方法があります。
また、税金の種類により負担者を決めていく方法もあります。
また、税金を賦課する担当部局の国籍によって税金の負担者を決める方法もあります。
税金の支払で注意が必要なものとしましては、源泉徴収税についてです。
「ロイヤルティ、使用料(商標ライセンス、特許ライセンス、 トレードシークレット・ライセンス、技術移転等)」「金利(融資契約)」などでは、源泉徴収税が課せられる場合があり得ますので、注意が必要です。
本来の納税者は、ライセンサ一であり、貸主となりますが、ところが、支払者であるライセンシー、借主に対しまして、その対価の支払い時に源泉徴収義務が課せられている場合があります。
なぜこのようになるかといいますと、源泉徴収が無ければ海外のライセンサーや貨主に金銭が支払われると、税金の徴収が困難となるからです。
そのような理由から、ライセンシーがライセンサ一のロイヤルティの支払い時に税金を納税するのであります。
英文契約書においての注意点としましては、商品等の価格の決め方がこのような源泉徴収税額を含んだ金額なのか、それとも源泉徴収税を支払った後の金額なのか、当事者間で了解や解釈の仕方に誤解の生じないように記載することが重要となります。
下記には、典型的な内容であります、納税者たる当事者が支払うという内容の記載例を挙げておきます。
Any tax arising from the separate business activities conducted by AAA and BBB pursuant to this Agreement shall be borne and paid by the party upon whom such tax is imposed by applicable law.
本契約に従ってAAA とBBBが遂行する個別の営業活動から生ずる税金は、適用法によりその税金が課される当事者により負担され支払われるものとする。