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英文契約書の英語 基礎知識  「助動詞 shall/may/will/should/must/can」

「助動詞」

◆英文契約書では、助動詞の使われ方が、通常の用法とは少し違う用いられ方をしています。

以下で主な助動詞について解説します。

(1) shall

"shall"は通常の使われ方では「~するべき」という、一定の指針を表しますが、英文契約書では「義務」を意味します。

語訳としましては、「しなけ ればならない」と表現されます。

ですので、当事者の義務については、shallが用いられ、強制的意味を文章に付与します。

同じ表現としては、"be under the obligation to","be to","agree to","be obligated to","be liable to","be responsible to"などがあります。

反対に、「してはならない」等の禁止を表す場合には、"shall not"が使われます。

◆英語の例文・書き方

① Distributor shall give the purchasers of Products appropri ate instructions regarding the use of Products in accordance with the specifications.

② Licensee shall not assign this License Agreement nor any partthereof nor any rights or obligations hereunder without a prior written consent of Licensor.

◆日本語例文・読み方

①販売店は、製品の購入者に対し、仕様書に基づいて、製品の使用方法に関する適切な指示を与える。

②ライセンシーは、ライセンサーの事前の書面の同意なしに、契約もしくは その一部または契約上の権利もしくは義務を譲渡してはならない。

(2) may

"may"は、通常の使われ方では、「~が許されている」という許可を表しますが、英文契約書では、「~でき る」として、当事者の「権利」を表します。

権利を表す同意の表現に"(shall) have the right to"や"be entitled to"があります。

 

shallが当事者の義務を表すのに対し、mayは当事者の権利を表す表現となります。

推量の意味では、あまり使われることはなく、as the case may beとして、事情に応じて、等の場合にのみ使用されます。

反対に「権利がない」場合には、"may not"が使われます。

◆英語の例文・書き方

①This Agreement may be amended only by a written instru- ment signed by the duly authorized representatives of both parties.

②The price referred to in Schedule 1 attached hereto may be varied by ABC atthe expiration of each year of the term hereof by ABC, providing to XYZ written notice of such variation.

③Neither party may have any liability to the other party after the termination of this Agreement.

◆日本語例文・読み方

①本契約は、両当事者の正当な権限を有する代表者の署名が記された文書に よってのみ修正することができる。

②ABCは、契約期間中の各契約年度末に、XYZに価格改定を書面で通知し て、本契約書の添付書類Iに記載する価格を改定することができる。

③契約が終了した場合、以降いずれの当事者も他方当事者に対して何の義務 も負わない。

(3)will

"will"は、通常の使われ方では、未来への意思、を表しますが、英文契約書でも同じような使用がなされています。

そして、レターオブインテント等の中で、当事者の義務とまでは表現したくないときに、willを用いて、少し曖昧に表現する場合もあります。

また、英文契約書中でshallの代わりに全てwillが使用されている場合には、作成者の意思としては、義務を表すと考えられます。

ですが、出来れば、shallに統一して作成すべきと言えます。

◆英語の例文・書き方

① ABC will promptly notify XYZ of any changes described in the preceding Article, and will endeavor to make XYZ aware of ongoing developments and future products which may be appropriate for sale in Territory.

② Insofar as the quantities of the Product ordered are within the scope of twenty (20) percent plus or minus the quantities which will have been notified to ABC as a purchase forecast or a change thereof and to which ABC will have raised no objection, ABC shall accept the quantities thereof.

◆日本語例文・読み方

①ABCはXYZに対して、前条に記載される変更をただちに通知し、また、 開発中の製品および将来地域内での販売に適すると思われる製品について 知らしめるよう努力する。

②発注された本製品の数量が、購入見込みまたはその変更をABCに通知済み であり、かつ、ABCがその変更に異議を唱えなかった数量の20パーセン ト増減以内にあるかぎり、ABCは、注文数量を引き受けなければならない。

(4) should

shouldの通常の使われ方は、shallの過去形、又は、「するべき」という丁寧な表現になります。

英文契約書では、出来る限り確定的な表現を用いるべきであり、shouldは仮定的な意味が含まれることから、出来る限り使わない方が解釈に混乱をもたらさないので、良いといえます。

◆英語の例文・書き方

Either party may terminate this Agreement if the other party should commit any breach of this Agreement

(この文章は、"Should either party commit any breach of this Agreement,the other party may terminate this Agreement"と置 き換えることができます)

◆日本語例文・読み方

いずれか一方の当事者は、他方当事者が本契約に違反した場合 本契約を解 際することができる。

(5) must

"must"の通常の使われ方は、「しなければいけない」として、義務、強制を表します。

英文契約書では、「条件」を定めるときに使用されます。

例えば、「広告費の補助を受けるためには、一定以上の売り上げを挙げなければならない。」等です。

  • 英文契約書・日本語契約書の解説 目次へ
  • ◆英語の例文・書き方

    The President of this Company must be a citizen of the United States of America.

    ◆日本語例文・読み方

    会社の社長は、アメリカ合衆国の市民でなければならない。

    (6) can

    canの通常の使われ方は、可能性です。

    語訳としましては、「~できる」となります。

    ですが、英文契約書では、あまり使われることはありません。

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