「刑事罰を受ける契約条項」など契約書の有害な条項をわかりやすく解説します

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有害又は無益な条項

ここで挙げられる条項は記載すると有害又は無益な条項です

効力が無いだけなら良いのですが、法律違反として刑事罰の対象になるものもあるので注意が必要です。

契約書を作成する際には、特に注意すべき条項といえるでしょう。

契約書の有害な条項の記載例

刑事罰を受ける契約条項

【条項例】

利息は年利30パーセントとし、乙は毎月末日限り当月分を甲方に持参もしくは送金して支払わなければならない。

【説明】

貸金業者が業として年利20パーセント以上に利息を定めた金銭貸借契約を結ぶと、出資法違反で刑事罰の対象となります。

公序良俗に違反して無効の条項

【条項例】

借家人において出産をした場合には、貸主は6力月以上の猶予期間を定めた上で、本件家屋の賃貸借契約を解除することができる。

【説明】

公序良俗に違反する契約は無効(民法90条)。

たとえば借主の困窮に乗じて高利を払わせる契約、子供が生まれたら借家を明け渡す契約などです。

強行法規に違反して無効の条項

【条項例】

本作土地賃貸借は、甲(賃貸人)において一年前の予告により契約解除することができる。

【説明】

借地借家法の契約期間や更新の規定、金銭貸借での利息制限法の規定は「強行法規」であり、この規定に反する特約をしても無効になります。

内容があいまいで危険な条項

【条項例】

借主は貸主に対し年率~%の利息を支払う。

【説明】

利息の支払時期が不明確です。

月払いか半年払いか年払いかを区別し、「いつ」支払うかもはっきり記載することが必要です。

【条項例】

著しくこの履行が遅延したとき甲は、本契約を解除することができる。

【説明】

「著しく遅延したとき」「本格的に稼働したとき」などはっきり決められない条件を入れてはなりません。

【条項例】

本作土地にマンシヨンを建築するに際し、周辺住民の反対により建築が妨げられたときは、甲乙協議の上、残代金の支払期を定める。

【説明】

上のような条項は住民の反対の程度、建設が困難かどうかの認定、どのような「協議」をするのかがはっきりしません。

少なくとも「協議」が成立しなかったらどうするかをはっきり決めておくべきといえるでしょう。

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