英文契約書を読み始めると、冒頭に突然現れる見慣れない単語 “witnesseth”があります。現代英語ではほとんど使われない古語ですが、 契約書の世界では今もなお生き続けている表現です。
“witnesseth” は、 「証言する」「証明する」「誓約する」 といった意味を持つ古い英語表現です。
日常的な英語では “witness” が使われますが、英文契約書では慣習的に “witnesseth” が残っており、 契約書特有の格式や伝統的な文体を示す役割も果たしています。
“witnesseth” の位置づけを理解するには、英文契約書の文法構造を押さえることが有効です。
“witness” は動詞であるため、文法的には 主語(Subject)と目的語(Object)が必要です。
英文契約書では、一般的に次のような構造になります。
主語:This AGREEMENT
目的語:witnesseth 以下の条項全体
したがって、契約書の冒頭部分は次のような一文として成立しています。
This AGREEMENT witnesseth that …(本契約は以下のとおり証する)
この構造があるため、 “witnesseth” を用いる場合は “This AGREEMENT is/was made …” という書き出しにはなりません。
本来、両者は文法構造が重なるため、併用することはできません。
ですが、現在は両者が並存する契約書が沢山あります。
現代英語としては古めかしい表現であるにもかかわらず、英文契約書で “witnesseth” が残っているのには理由があります。
伝統的な契約書文体:長年の慣行として用いられている
儀式的な書き出し:契約の成立を厳粛に宣言する役割を持つ
国際的な慣習:特に英米法圏の契約書で広く用いられてきた歴史がある
実務上は、“witnesseth” を見かけても驚く必要はなく、「契約書特有の古いスタイル」だと理解しておけば十分です。
実際の英文を通して、“witnesseth” の使われ方と文法構造を確認してみましょう。
THIS AGREEMENT, made as of [Date], by and between [Party A] and [Party B],
WITNESSETH THAT:
[条項本文が続く]
この例では、“THIS AGREEMENT” が主語となり、 “WITNESSETH THAT:” 以下の内容が目的語として続いていきます。
このように、“witnesseth” は単なる飾りではなく、契約書全体の文構造を支える動詞として機能しています。
下記の例文で一度ご確認頂ければと思います。
この"witnesseth"に続いて記載される"whereas"も英文契約書では重要となりますので、こちらでご確認ください。
This AGREEMENT made and entered into as of the 1st day December,1996 by and between ABC and XYZ,
WITNESSETH
WHEREAS, ABC ...; and
WHEREAS, XYZ ...;
NOW, THEREFORE,in consideration of the mutual agreement setforth herein,the parties hereto agree as follows
Article 1~
IN WITNESS WHEREOF,the parties hereto have caused this AGREEMENT to be executed by their duly authorized repre - sentatives as of the date first mentioned
本契約は、ABC とXYZとの間に1996年12月1日に締結され以下を証する。
ABCは…
XYZは…
よって、ここに記載された合意を約因として、本契約の当事者は、次の通り 合意する。
第1条~
以上の証として、両当事者は、正当な権限を有する代表者によって、冒頭記載の日付に本契約を締結させた。