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国立大学O大学 研究センター教授 様より
この度はリーガチェックありがとうございます。 大変参考になるコメントでした。 ありがとうございます。
英文契約書の英語 基礎知識 「whereas」
whereasの意味
◆"whereas"は「~である一方、他方は~」という意味で使用されます。
説明条項やリサイタル条項(Recitals)といった英文契約書の前文に使用されます。
前文とは、"whereas"を用いて「契約締結にいたった経緯」や「契約の目的」を説明する英文契約書の本体部分とは別の部分を言います。
説明条項やリサイタル条項は、"whereas"という文言で始まるところから"whereas clause"とも呼ばれます。
通常の場合、日本文の契約書には見られぬ特異な部分であると思われます。
ちなみに、butとの違いはbutが逆説に使用されるのに対して、"whereas"は単なる対比の場面で使用されます。
whereas clauseの法的効力
◆説明条項の記載は、英米法の下においては次に述べる例外的な場合を除いては、格別の法的効力を有しません。
従って、説明条項が無くても契約は有効に成立します。
また、説明条項にはどんな内容を記載しても原則的には契約内容に影響しないと考えられます。
しかし、例外的に説明条項が法的効力を有するに至る場合がありますので、説明条項といえども、それを記載する場合には、内容をよく検討し慎重に行う必要があります。
whereas clauseが、例外的に法的効力を有する場合
whereas clauseが、例外的に法的効力を有する場合は、以下のa,bです。
簡単に言えば、「契約条項の解釈を補う場合」と「真実でないことを書いた場合」です。
a) 裁判所において契約条項の解釈が不明確な場合に、それをwhereas clauseが補う場合にはwhereas clauseの内容が法的効力を有する場合があります。
契約書の条項が明確さを欠いており、契約本体からだけでは契約内容が明瞭でない場合には、説明条項の内容が、契約当事者の真意を把握するための重要な資料とされます。
b) 「表示による禁反言」 (estoppel by representation)の法理により説明条項に一定の事実を記載した当事者は、その事実に反する主張は訴訟上できなくなる場合があります。
「表示による禁反言」とは、「他人に対し不真実な表示をし、その他人がその不真実な表示を信頼して行動したときは、不真実な表示をした者は、それ以後自己の言ったことが不真実であったと申立て、その他人を誤導した不真実の代りに、客観的真実を主張することが許されない」(Balkis Consolidated Co. v. Tomkinson, (1893) A.C. 396, 410)という法理をいいます。
同趣旨の米国判例としてWilson v. Towers, 55 F. 2d.199 (C.A. 4th.1932)があります。
従って、契約の基礎となる重要な事実につき不真実の表示を行った場合、表示された事実が契約上の真実とみなされますから、表示した者がその作られた真実を現実の真実となしえないときには契約違反となり、相手方より損害賠償を請求され、場合により契約を解除される羽目となりえます。
例えば特許ライセンス契約において、説明条項に見られるように、"Whereas,the Licensor is engaged in the continuous development of the Licensed Products through its research facilities,"と記載した場合、万一licensorが、そうしたresearch やdevelopmentを契約期問中に中止すると、licenseeは契約締結にいたったのはlicensorが当該技術につき更に開発を進めているというので、その改良技術の提供も受げるとの前提があったからであるが、この契約締結にいたった主な基盤が存在しなくなった以上、契約を解際したいと主張することを、licensee に許す結果になりかねません。
契約の基盤となる重要な事実につき、説明条項でふれる際には、のちに相手方より思わぬいいがかりなどをつげられぬよう十分検討のうえ記載する必要があります。
この"whereas"に続いて記載される"in consideration of"の深い意味については、「in consideration of」でぜひご確認ください。
whereas clause作成のポイント
説明条項の作成の要点は、相手方に関連することで、当方として述べておいてもらいたいことは極力詳細に、自分の方は、なるべく簡単にするということになります。
◆英語の例文・書き方
Whereas,the Licensoris engaged in the continuous development ofthe Licensed Products through its research facilities; and
Whereas, the Licensee desires to obtain, and the Licensor is willing to grant, a license forthe Licensor's Patents for manu facturing the Licensed Products,
文責 行政書士事務所 Golden Willer 国際経営・法務事務所
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