ユニドロワ国際商事契約原則とは、国際貿易における契約上の商取引の原則を言います。
このユニドロワ自体には法的拘束力はありません。
ですが、英文契約書上で当事者がユニドロワの内容で取引することを合意した場合には、ユニドロワが法的拘束力を持ちます(前文第2文)。
当事者の援用があって初めて法的効力が生じるという、いわゆる、ソフトローに当たります。
ただし、下記の注意点で説明しているように例外的に効力が生じる場合もありますので、注意が必要です。
1994年に公表され、その後2004年、2010年と改正されています。
その内容としましては、
契約成立(formation)、有効性(validity)、解釈(interpretation)、条件(terms)、履行(performance)、不履行(non-performance)、代理(agency)、第三者の利益(benefit of third party)、相殺( set-off)、権利義務の譲渡( assignment and transfer of rights and obligations)、期間限定(limitation period)、違法性(illegality)、契約条件(conditions)、複数の債権債務者(plurality of obligors and obligees)、契約不履行時の原状回復(failed contract by restitution)
等です。
日本の民法と同様の機能があると言えます。
大きく違う点は、ユニドロワは法的拘束力のない原則であり、ウィーン売買条約(CISG)は国家間の法的拘束力のある条約という点です。
ですので、ユニドロワはソフトロー、それに対して、ウィーン売買条約(CISG)はハードローであると言えます。
また、ユニドロワにはウィーン売買条約(CISG)にない規定(Hardship やInterest)があります。
ユニドロワには、契約当事者を拘束する拘束力はありません。
他方、ウィーン売買条約(CISG)には契約当事者を拘束する拘束力があります。
ですので、英文契約書作成においても、この法的拘束力の有無の違いを踏まえて検討する必要があると言えます。
ユニドロワにつきましては、英文契約書上で特段にその利用を排斥する必要はないと言えますが、適用するならば英文契約書において「ユニドロワを適用する」と記載すべきと言えます。
また、ウィーン売買条約(CISG)は、その適用を排斥する文言が無ければ当該契約に適用されるのが原則ですので、適用したくない場合には「ウィーン売買条約(CISG)は本契約には適用されない」等の文言を付加しておくと安心と言えます。
ただし、当事者が「法の一般原則、並びにそれに準ずる原則」を適用するとの合意を英文契約書上でしている場合には、ユニドロワが適用される可能性があります(前文第3文)。
これは、契約書上で準拠法を定めていても、ユニドロワが適用される可能性があることを言います(前文第4文)。
準拠法では紛争中の問題を解決しうる適切な基準がない場合に、ユニドロワの原則が補うイメージです。
英文契約書で「法の一般原則、並びにそれに準ずる原則」の適用を排除している場合がありますが、ユニドロワ等の適用を排除することも意図しているといえます。