契約書の構成要件は、次のとおりになっています。
①表題
②当事者の表示
③債権債務の内容
④作成年月日
⑤当事者の署名捺印または記名捺印
⑥一般条項
⑦目的物の表示
契約とはお互いに一定の拘束を受けることを基本にしますので、そこには当事者の自由意思が絶対的に求められます。
これが契約自由の原則と言われるものです。
契約自由の原則から、契約書式の自由も生じます。
ですので、原則的に契約書の内容は当事者に分かる内容であればどのように定めても構いません。
ところが、一旦紛争になれば、契約書は裁判上の書証となりますので、裁判官に契約があったと確信を持たせる内容である必要があります。
そのときに、契約書が最低限の構成要件を満たしていなければ、裁判官も契約の存在を認められません。
各構成要素の存在から、裁判官は契約の存在の心証を形成していくからです。
従って、紛争を事前に防ぐために、契約書の内容面を充実させ、紛争が起きた場合に備えて、しっかりと契約書の形式面についても整えておく必要があると言えます。
タイトルには、契約書の内容を拘束する効力はありません。
ですので、契約書のタイトルはどのようなものを付けても構わないことになりそうです。
しかし、契約書の内容に即したタイトルをつけることにより、裁判官も契約書の内容を把握しやすくなるので、分かりやすいタイトルを付けるべきと言えます。
印紙税法に規定されている特定の契約書には、印紙を貼付する必要があります。
大まかに分類すると、物の譲渡がある契約については、印紙を貼ることが求められることが多いと言えます。
ただし、法律行為の有効無効と、印紙の有無は、直接の関係はありません。
また、契約成立地が日本以外であれば日本の印紙法が適用されませんので、印紙を貼付する必要もなくなる場合もあります。
当事者の表示が無ければ、裁判官も誰と誰の契約かが判別できませんので、当然に必要となります。
前文は書かなくても良いのですが、契約の目的を表示しておくことで、契約書の条項についての争いが生じたときに、その解釈の拠り所となることが出来ますので、記載しておく方がより安心と言えます。
作成された日が記載されることで、各条項の期間を割り出すことが出来る等、絶対的に必要となります。
当事者の表示に加え署名押印があることにより、裁判所において「真正に成立したものと推定される」という機能があります(民事訴訟法第228条第4項)。