英文契約書では、契約終了とともに、すべての条項の効力は失効するのが通常ですが、秘密保持についての条項や、競業避止の条項、損害賠償の条項等の一定の条項が、存続させられることがあります。
これは、契約終了後も契約上の効力が保持される例外的場合を規定するためです。
実務上、注意すべきポイントとしましては、「仲裁条項」を存続させる規定に含めるかどうかです。
仮に仲裁条項を存続条項に含めず、契約終了と共にその効力が消滅すると規定していると、例えば、相手方が何らかの事由で契約解除を主張した場合において、通常の裁判機関に訴訟を提起することが考えられます。
これは、相手方にとってはその契約は終了しているのであるから、その契約内容となる仲裁条項にももう拘束されることはないと考えるからです。
ですが、解除される側がその解除事由を争う場合には、その者にとってはその契約は終了していないのですから、当然、契約内容に拘束されるべきですので、仲裁による裁定を望むでしょう。
このような状況になると、仲裁による非公開の裁定がなされず、営業秘密やその他の価値のある知的財産が通常の裁判によって公開されてしまう恐れがあります。
このようなことを防止するためにも、仲裁条項もこの存続条項の対象として記載しておくべきといえます。
この文例では,こうした条項を契約終了後も存続させ、それ以外の権利義務は失効する旨の規定がなされています。
Except for the confidentiality clause hereof, upon expiration or termination,for any reason, of this Agreement, all right accruing to either Party hereunder shall forthwith lapse.
本契約守秘義務条項を除き、 本契約の期間満了または解除後は理由を 問わず,本契約に基づき各当事者に生ずる一切の権利は直ちに効力を失う。