英文契約書の「通常損害」と「特別損害」を判例からわかりやすく解説します

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責任制限の条項(Limitation of Liability)が必要な理由

「通常損害」と「特別損害」の判例

米国のロースクールのケースブックに掲載される数少ないイギリスの裁判によって「通常損害」と「特別損害」についての判断がなされています(Hadley v. Baxendale (1854))。

本事案は、原告が営む製粉工場の製粉機のクランクシャフトが壊れて操業停止せざるを得ない状況になったので、代わりのクランクシャフトを被告である運送業者に配送を依頼したが、合意した期日よりも数日遅れて配送がなされたことから、原告の工場は操業停止期間が長引いた、というものです。

以上の事案に対して、原告は操業停止期間が長引いたのでその間の得べかりし利益(特別損害(逸失利益))を被告に請求しましたが、裁判所はこれを認めませんでした。

「通常損害」とは

上記判決から、通常損害とは

「契約違反から通常、当然に生ずる損害」

をいいます。

例えば、配送遅延の間にクランクシャフトを他の業者に借りる場合の料金がこれに当たると考えられます。

「特別損害」とは

他方、特別損害とは

「契約締結時において、両当事者が契約違反から生ずると考えられる損害」

をいいます。

例えば、上記の裁判事例を基に通常損害と特別損害の違いを考えてみますと、特別損害は、操業停止期間が長引いたのでその間の得べかりし利益(逸失利益)がこれにあたります。

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