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国立大学O大学 研究センター教授 様より

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売買契約書について

◆英文契約書に続き、日本語契約書の基礎知識についてご説明したいと思います。

売買契約書について解説します。

売買契約は、経済活動の根幹で、大変重要な契約であると言えます。

また、取引数に応じて、紛争の数も多いのが実情です。

売買契約は、その取引内容は単純です。

一方が物を引渡、もう一方がそれに対して、対価を支払います。

対価関係や、履行方法がシンプルですので、売買契約に使用される売買契約書を分析して、契約書の基本構造を理解していきましょう。

そこで、売買契約書についての注意点を解説しています。

以下、売買契約書について、見ていきましょう。

売買契約書の作成方法

売買契約書

売買契約書は、様々な種類が存在しますが、不動産の売買も動 産の売買もその本質はなんら 変わることはありませ ん。

目的物を売り、それに対して、対価を支払うというものです。

売買については民法五五五条に規定されています。

それは、買主が購入代金を支 払い、これに対し売主が約束した財産権 を買主に移転することを約束す るということです。

ここから考えると、下記の事由が契約書に確実に記載されていれば、契約書としての機能は発揮されるわけです。

①売買の目的となった財産権

②代金の額と支払時期

③財産権の移転の時期

④売主と買主の氏名

上記それぞれについて説明し ます。

財産権について

財産権と言えば、家や土地を思い浮かべるかもしれませんが、それ以外に様々なものが存在します。

財産権といえば、 所有権に限らず、賃借権や、担保権等種々あります。

したがって、 売買の目的物を特定するためには、目的となったものの、形状、 数量などの物理的な性質の面 と、権利の性質面と、両方からどのようなものであるかを明確にする必要があります。

土地を目的物にする場合でいえば、その存在する場所、住所、面積、形の土地であるということと、権利面では、所有権であるか、地 上権であるか、永小作権である か、などを明らかにする必要があります。

目的物について

土地の売買契約と言いましても、相手方が所有する土地の全部を対象にしているのか、その一部を対象にしているのかをはっきりしないと、後々の紛争を生じることになります。

そこで、土地の面積、形状など を明示する必要があります。

面積は公簿面の表示と、実 測との両者を表示しなければな りません。

ここで、土地の表示について少し説明します。

まず、登記簿上の表示を先にもってく るのが原則です。

その場合、所 在、地番、地目、地積の順に、 登記簿どおり記載するのが正式 なやり方です。

つぎに実測の面積を表示 します。

可能であれば、実測図を契約書に添付する方がよいでしょう。

詐欺的な販売業者が存在しますので、後から別の土地を売りつけられたと判別することもあります。

支払義務について

契約書では、債権債務を明確に定める必要がありますので、買主における代金支払い義務をしっかり定めることは、契約書作成の基本となります。

代金額の定め方は、原則、確定した金額ですが、例外的に時価にせざるを得ない場合には時価等の定め方によります。

こ のような場合は「時価」が客観 的な基準から引き出せるような きめ方にしましょう。

たとえば、鑑定事務所の鑑定額にする等の方法です。

支払時期について

支払時期についても、契約書作成においては重要な要素となります。 なぜなら、支払時期が記載されていなければ、相手方は債務不履行責任の基礎となる事実を把握することが出来ないからです。

そうなると、履行遅滞に基づく金銭を計算することもできません。

支払時期も「平成ロ年ロ月ロ 日まで」というように確定した 期限をきめるのが原則です。

登記と引渡し

民法の規定では所有権などの 物権は、意思表示で移転することに なっています(一七六条)。

とすると、当事者の意思表示の合致があった時に、物権変動が生じてしまいます。

ですが、当事者の意思としては、登記と交換するというのが通常でしょう。

そこで、移転時期についても定めておく方が良いと思われます。

引渡しの時期

不動産の売買では、登記が対 抗要件となります。

対抗要件というのは、自己の所有権を第三者に主張するための要件です。

ですので、対抗要件が備わっていないと、買主が購入しても、同じ物件を購入した第三者に所有権を主張できないことになります。

動産の売買では原則として引 渡しが対抗要件です(民法一七 八条)。

ですので、動産の売買では、引渡は一目瞭然ですし、簡単です。

しかし、以上から、登記や引渡が自己の所有権を保全するのにどれだけ重要かを理解していただけたと思われますので、登記の時期、引渡しの時期、方 法、場所を明確にすることが契約書作成上、大変重要な要件であることが分かって頂けるでしょう。

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